日常から見える境目

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学校のB棟206教室から見える景色は、 時々わたしを空想の世界へと導く。 なんと言う山だったか忘れたけれど、 遠目に見えるその山は美しいと思えた。 運動嫌いなわたしが、登ってみたいなどと 不覚にも思ってしまうような綺麗な山だ。 そして時々、昼間に見える月が 山の頂上付近に重なって見えることがある。 天気や時間帯など、幾つかの条件が 揃わないと見ることができないその景色は、 現実と空想世界の境目みたいで好きだ。 日常生活では意識することのない 山という自然と、月という天体。 自分の存在が小さいものに感じられて、 なんとなく安心してしまう気がする。 お前がいなくても世界は何も変わらないんだと…。 わたしは、そのことを実感できて嬉しかった。
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