深夜二時

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 俺はパソコン画面へ向かい、カチャカチャとコントローラーのボタンを潰し続けて居る。無心で、仕事に疲れた瞼を無理やりこじ開け、その背中は完全に狂った人間のように見えるらしい。  大人げないとはよく言われるが、ゲームこそ、大人の至上の嗜みであると俺は考える。金を出せば出すだけ強くなる、子供には参加できない札束の殴り合い。至上だろう。楽しいだろう。高笑いを噛み締め、俺は目を見開いてパソコン画面に食い入った。 「頼まれたもの、買ってきましたけど……?」  いつの間にか室内へと入って来た後輩が、手に下げたコンビニ袋をカサリと鳴らす。俺の注文通りならば、中に入っているのはポテチにコーラにチョコレート。ああ、ついでに肉まんも頼んでおけばよかった……。 「机の上、置いときますからね」  社員寮の部屋には鍵がついているが、入寮と同時に合鍵も渡される。合鍵の使い道は自由だ。俺はでかでかと輝いた『WIN』の文字に満足し、ふと後方を見遣った。
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