深夜二時

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 「なあ」と俺が声を掛けた時、後輩はまだキャラクターを選んでいた。  いつもならば、女性ファイター一択なくせに、何を迷っていると言うのか。 「……なんですか」 「俺が勝ったらさ、肉まん買って来いよ」 「いやいや。さっきパシられたばっかりなんですけど……」 「返事はイエスだ。先輩命令」  「さいてー」と後輩は唇を尖らせた。そうして俺がポテチに視線を落とした瞬間に始まるバトル。随分と卑怯な手を使いやがる。速攻で打ち込んできた後輩の一撃を食らってしまったが、これくらい問題にはならない。反撃、反撃。よしっ。 「先輩」 「なに。話掛けんな。肉まんがかかってんだから」 「負けたら、なにしてくれるんですか」 「あー……そうだな。肉まん買って来てやる。俺のおごりだ、喜べ」
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