ロボットな同僚

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「じゃ、また明日」 「送ってくださって、ありがとうございました」 初めて彼にお礼を言った。 だって、言いたくなったから。 「ん」 くいっ、彼が眼鏡をあげる。 「じゃあ」 私がホームに向かっても、彼はまだそこに立っていた。 なんだかとっても気分がいい。 だってさっき眼鏡をあげた、彼の耳の先が赤くなっているのに気づいてしまったから。 「明日はもっと、話してみよう」 彼はロボットなんかじゃない、ちゃんとした人間だ。 感情表現が下手なだけの。 きっともっと仲良くなれば、知らない顔が見えてくる。 もっと、もっと――彼を知りたい。 そしてもっと、あの笑顔を見たい。 【終】
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