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だから私は、彼が苦手なのだ。
もうすでに彼は無言でパソコンに向かっていたし、私も無言で入力を続けた。
そのうち残っていた人もひとりふたりと帰っていき、気づけば彼とふたりっきりになっていた。
カタカタとキーを打つだけが響き、なんだか空気が重い。
苦手な彼とふたりっきり。
さっさと終わらせて帰りたくて、キーを打つ手をさらに速める。
「おわっ、たー」
保存だけして発注はせずに画面を閉じる。
最後、駆け足で入力していただけに間違っていたらと思うと怖い。
明日、チェックしよう。
「お疲れ様でした。
お先に失礼します」
さっさと片付け、そそくさと席を立つ。
「お疲れ。
俺も帰るから」
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