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ロボットな同僚
桜吹雪の舞い散る中。
私はあの人に――恋をした。
「これ。
発注かけといて」
「はい」
私にカタログを渡し、彼は慌ただしくジャケットを羽織った。
「出てくるから。
なんかあったら携帯」
「はい」
ビジネスバッグに書類をねじ込み、長い足でホワイトボードまで移動する。
書かれた行き先は契約間近の得意先の名前。
「じゃ、行ってくる」
くいっ、大きな手で覆うように黒縁ハーフリム眼鏡をあげると、レンズがきらりと光った。
「いってらっしゃい」
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