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3.間の悪い二人
そうか、今日は2月14日だったか──。
言わずと知れた、聖バレンタインデー。日本のお菓子会社の策略に乗せられるなんて馬鹿げてるわ、と言い放つ妻のせいで、ずっとバレンタインとは縁がなく、すっかり忘れていた。
そうかそうか。よく見ると、ユウくんはテーブルの下で、可愛らしいラッピングの包みをぎゅっと握りしめている。青春してるな若人よ。
そわそわとチョコを渡すタイミングを図っていたユウくんが、手を動かしたその時──。
「あ、悪い。電話かかって来たから」
バイブで振動するスマートフォンを手に、青年は急いで店の外に出ていった。
後には、バレンタインチョコを前に差し出したポーズで固まったユウくんが取り残されていた。
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