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俺の名は俊助。
俺には、以前、二人の取り巻きがいた。
かつては、二人の方が俺を慕ってきてくれていたのだが、今は、俺がその二人を慕うようになった。
きっかけは、ある夢だった。
ナンパしようとした女性に変身した俺は、そのままその二人に抱かれた。
それが夢だったのか現実だったのかはわからない。
現実というにはあまりに突拍子もなく魔法のようで、夢というにはあまりにリアルで生々しい体験だった。
最初は、豹変した俺を気味悪がっていた二人だったが、真剣な告白を繰り返した結果、二人と付き合うようになった。
昼間は、以前のように商店街で遊び、夜は……
そんな中、あるバレンタインの日、転校生に渡されたチョコレートを食べた二人の様子が変わった。
二人は、犬のように転校生の命令を聞くようになっていった。
気持ちが離れたのなら、俺には、どうすらこともできない。
俺が枕を濡らしていると、その背後に見知らぬ少女が立っていた。
「そんな魔法“のような”チョコレートには、魔法“のような”チョコレートで対抗しないと……あのお姉さんからもらったチョコレートは、まだある?」
俺は、少女に転校生からもらったチョコレートを差し出した。
「コレにはもう体液も入ってあるはずだから、これを象って……よし完成!」
少女は転校生の姿のチョコレートを作り出した。
「あとはチョコレートに触らせればいいから、ホワイトデーにでもこれを渡して。」
そう言うと、少女の姿はどこかに消えていた。
また夢でも見ていたのだろうか?
ホワイトデー当日、転校生にチョコレートを渡したが、何も起きなかった。
しかし、2日後……燃えるゴミの日……放課後に、転校生が熔けていくのを俺は見てしまった。
まるで焼却炉に入れられたチョコレートがとけるようにドロドロと。
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