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4章 愛想がないから合いそうにない
姉が琢朗を家に連れて来たのは、それからしばらくしてからのことだった。婚約者を家に連れてくる、と姉から聞かされていたのでどんな相手なのかと朝から楽しみにしていた。
姉に引っ張られるように、琢朗は連れて来られた。
私は琢朗を見て驚いた。それは私の想像していたのとは、あまりにも異なっていたからだ。容姿や身に着けているものも勿論、驚いたが、何より琢朗の態度だった。
「初めまして」と私が笑顔で挨拶すると、琢朗は私と目を合わすことなく、お辞儀をした。彼が異常なまでに初対面が苦手だと言うことは、簡単に想像出来た。
きっと、誰かが琢朗の肖像画を書いたら、地味な人というタイトルが付けられるのではないかと思うぐらいだった地味だった。
普通なら、そんなには驚かないかもしれない。外見を必要以上に気にする姉だから、きっと容姿に恵まれ、社交的で見栄えが良い人を連れて来るのだと思っていたから驚いたのだった。姉が、自分の意志でこの人を選んだとは、想像付かなかった。
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