1章 惑いの池

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1章 惑いの池

 もし、これらの水草に感情があるとしたら、季節外れに、理由もなく池に入って行く私を嘲笑っているだろうか。それとも自分たちの住みかへの侵入を拒んでいるだろうか。  私は、月経が近づくとこの池に無性に入りたくなる。気温や水温は関係ない。泳ぎたいわけでもないし、暑さから逃れるためではない。夏だろうが、冬だろうが、晴れていようが、雨が降っていようが、雪が降っていようが構わない。  それは私の月経が大きく関係しているように思える。  私の月経の痛みは、どうやら人よりも激しいようだ。月経に慣れてない頃は、他の人にもこんな痛みと苦しみがくるのかと思っていたが、他の人の話を聞く限りでは、私のものとは大きく異なることが分かった。腹痛や頭痛、酷い時には、極度の倦怠感が私に着き纏う。そして、月経の臭いも他の人よりも強いようだ。    私が月経になると、よく人に月経中だと気が付かれてしまう。私は誰の月経にも気が付かないのに。それはきっと臭いのせいだろう。私は他の人のそれに気付けないのに、他の人は私のそれに気付いてしまう。今は大分慣れたが、嫌なことには変わりない。幼い頃はたまらなく屈辱的なことだった。       
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