1章 惑いの池

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 だけど、それが終わらないうちは、結婚はするべきではないし、もし仮にしたとしても、新婚生活に何かしら悪い支障をきたすのではないかとさえ、思うようになった。  その得体の知れない感情は、日が経てば経つほど、瞬が結婚に拘れば、拘るほど私の中で膨らみ、大きくなっていった。  私は、毎日それが何なのかを考えていたが、未だ答えは出ていなかった。  それは結婚式を目前に控えた姉が亡くなったことが大きな原因だろう。姉は結婚に多大な期待と希望を抱いていたから。  亡くなった姉の結婚を差し置いて、私だけ結婚することに罪悪感があるからだろうか。 姉はもう亡くなって、もう仕方のないことであるけど、姉のことが大きく影響していることは、何となく分かっていた。    結婚に対して、期待と希望を抱いていた、と言えば、聞えは良いが、姉は結婚に関しては、異常なまでの情熱と執着を持っていた。姉は幼き頃から、結婚までの道筋をすべて計画し、それをこなしてきた。自分の計算通りに。 「夢はお嫁さんになること」  姉は、私にだけそう呟いた。
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