25人が本棚に入れています
本棚に追加
私は、姉の無関心さに少しイラついて尋ねた。
「どういうこと?」
「女性は汚れてる存在だから、男性しか富士山に登っては行けなかった時代があったのよ。女性は、例え男性と一緒でも二合目までしか登れなかった」
「いつの時代をしているのよ?」
「確か、明治の初期まではそうだったわ」
「でも、今はそんな愚かな思想はないわ。もし、今女性が入れない場所があったとしたら、大問題じゃない」
姉は微笑を浮かべた。姉の微笑は大人になっても、まだ慣れない。
「でも、昔は女性の地位は低かった」
「何が言いたいわけ? 私は別に富士山に興味はないわ」
「ううん、富士山のことじゃないわ。女性のことよ。富士山に登ることを禁止されてても、それでも登りたかった女性はたくさんいたと思う。でも、絶対に許されなかった。そんなことがまかり通ってた時代だから、いきなり女性解禁になったわけじゃないの。禁止されてても、それでも富士山に登った女性がいたの。きっと世の女性の地位の向上のために女性を代表して登ったのね」
「今じゃ考えられないわ。女性を制限することで、男が権力を示そうってしたわけね」
姉が呆れた風に言った。
最初のコメントを投稿しよう!