4章 愛想がないから合いそうにない

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 私は、テレビのニュースで見た、何かの宗教の合同結婚式のようなものを思い出した。たくさんの新郎新婦が、教団が選んだ初対面の人と結婚するという信じられない光景だった。結婚相手を自分で選ぶことが出来ないという、私には理解出来ない行為だ。    もしかしたら、姉もそんな宗教に入っているのかもしれない。ふとそんな不安が脳裏を過った。    姉の横でひたすら汗を掻きながら、下を向いているこの男は、姉の意志ではなく、教団が選んだ人間なのかもしれない。    姉よりも少しだけ背が高く、中肉中背、細い一重瞼。子供の頃と比べたら、明らかにおでこは広くなっていると思わせるし、このままいけば、間違いなく毛髪は無くなるのだろう。容姿には、あまり特徴も無いし、魅力も無い。姉は、この人のどこを気に入ったのだろう。 「この人が琢朗さん、こう見えても優秀なお医者さんで、ご両親は病院を経営されているの。だから御曹司ってわけなのよ」と姉は紹介した。特徴のないものに無理矢理に肩書を付けたような気がした。 「どうやって知り合ったんですか?」  私は愛想良く琢朗に尋ねた。 「仕事で知り合ったのよ」  琢朗に尋ねたが、私の質問には姉が答えた。  姉の仕事は医療関係でもないし、どうして医師との出会いがあったのだろうと不思議に思ったが、それ以上は言及しなかった。       
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