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「きっといいお姉さんだったのね。お察しするわ。お姉さん、お名前はなんて言うの?」
「有華です。有田焼の有に中華の華です」
「華が有ると書くのね。いいお名前ね」
そう言うと女性は何やら考え込んでいる様子だった。
「もしかして、あなたの姓は葛西さんじゃない?」
女性は目を大きくして私に尋ねた。
「そうです、葛西です、なぜ分かったんですか?」
思いもよらない展開に驚いた。
「葛西さんの妹さんなの……。じゃ、亡くなったのはあの葛西さん……。驚いたわ、まさか亡くなるなんて……」
そう言うと女性は私から目をそらし涙ぐんだ。神前式と有華という名前でピンときたようだった。
「姉をご存じなのですか?」
「ええ、お姉さんはうちのお客さんなのよ」
「あ、姉が? ここでお世話になってたのですか?」
驚きというよりも意外な答えで信じられなかった。
「やっと、希望の相手と出会えて結婚が決まった矢先に……。気の毒だわ……」
それを聞くと私は疑問に思った。確か、姉と琢朗は仕事の関係で出会ったはず……。それに姉が結婚紹介所に出入りしていたなんて聞いたことがない。
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