25人が本棚に入れています
本棚に追加
姉が、私たちに内緒にしていたか、この女性が嘘を言っているかのどちらかだ。だけど、この女性の表情とそこから流れる涙を見ると、とても嘘をついているようには見えないし、そもそも嘘をつく必要がないと思う。
「お姉さんは希望の相手が見つかるまで、熱心にここへ足を運ばれたわ。きっと後悔のない結婚がしたかったんでしょうね」
「幼い頃から憧れが強かったんだと思います」
私は驚きを隠せないままそう添えて店を出た。
姉がここの客だったなんて信じられなかった。姉ほどの容姿を持っているなら結婚紹介所など必要ないはずだ。姉は何度ここに来たのだろうか。何故、私に嘘までついて琢朗と仕事で出会ったと言ったのだろう。夢見た結婚相手が琢朗だったのか。私の頭の中で疑問が渦巻いていた。
最初のコメントを投稿しよう!