あの、隣、いいですか?

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 何度か話しかけようともした。でも、自習室と言う静かな空間で、しかも名前も知らない女の子に、話しかけられるわけもなかった。  だが、その一方で成績はどんどん下がっていく。塾に行っていないせいでもともと決して良いとはいえなかった成績は、ほぼ最下位まで下がってしまった。  新学期に入ってからも土曜日には必ず自習室を訪れて、彼女の事を見ていた。  だから、普段の学校生活でも、呪われたかのように彼女のことを思い出していた。  親からは怒鳴られ、先生からは進路変更を迫られた。でも、オレは進学にこだわった。自習しに行く理由がなくなるから。  その時やっと気付いた。  そうだ、俺は受験生であって恋愛などする必要、今はない。いつの間にかオレは、彼女の事で頭がいっぱいになっていた。長い将来のことを考えると、今こんな甘えた考えを持っていてはいけない。だが、どうしようもなかった。
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