独身同盟

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 沿道ぞいのイルミネーションは華々しく煌びやかだった。BGMこそないものの、数種類のイルミネーションが並んでいる様子は見応えがある。さっき男の人と一緒にこういうのを見たいって思っていたのに、もうかなってしまった。後でバチが当たらなければいいけど。隣の彼は特にはしゃぐ様子もなく淡々と観ては、一応私に一言残してくれる。綺麗だねとか、可愛いねとか。彼も不器用な人だ。表情を作るのも苦手だし言葉を選ぶのも苦手そう。きっと今だってコートの中に手を突っ込んではポケットの中で携帯電話を転がしているのだろう。私は気づかないふりをして彼についていった。私が誘ったというのに、彼はあまりに歩くのが早くついていくのも精一杯。もうちょっとレディーの気持ちも考えてくれたら嬉しいけど、こんな彼でも彼は彼。やっぱりこうしているだけでも私は胸いっぱいなのだった。  最後のタワー型のイルミネーションを見上げ終わった時、彼は物寂しげにため息を漏らした。私のわがままに付き合ったせいで疲れてしまったのだろうか。それともこんな私に嫌気がさしたのだろうか。彼女でもない私とは観たくなかったのだろうか。色々な想像が私の心を集中砲火する。急に心配になった私は彼に何回か声をかけたが、彼はすべてなんでもないで済ませた。そんな一言で済ませられたらますます心配になる。そうしているうちにどんどん気まずくなっていって、帰り道は氷の棘の上を歩いているようだった。
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