【友達】

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【友達】

 雪――それは、冬の季節にだけ降る。  冬の季節と共に現れて、冬の季節が終わると共に溶けて消えてしまうもの。  それは僕も同じだ、何故なら。  僕は……“雪だるま”なのだから。  ――雪だるまとして命を与えられた僕。  その僕が初めて目にしたのは、小さな女の子の姿だ。  その小さな体で一生懸命に、僕の顔に何かしているみたいだけど。  雪だるまの僕には、それがわからない。  だけど、その女の子は僕の顔に何かを埋め込み終えると、 「やった、かんせいだぁ!」  そう叫んで、喜んだ。  一体何が完成したのか、動くことも視界を動かすこともできない僕にはわからない。  だけど、とても喜んでいることだけはわかる。
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