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【嘘】
次の日になると、天気は雨だった。
冬の季節に降る雨はとても冷たく、人の体を冷やすものだ。
なのにゆーちゃんは、傘を差して僕の前にやって来た。
だから僕はゆーちゃんに家に戻るように必死に説得した、けど。
ゆーちゃんは「だいじょうぶ!」って言って聞かなかった。
それでも必死に説得するのに、ゆーちゃんは中々家に戻らないで。
終いには、ゆーちゃんのママらしき人がゆーちゃんを無理矢理家の中に連れて戻った。
話をするのは良いけど、ゆーちゃんが風邪を引いちゃダメだ。
寒い季節のこの中で、風邪を引くと大変だ、と。
雪に蓄積されている知識はそういう事実を知っている。
だから、今日は無理でも――明日、明後日があるって。
ゆーちゃんが元気だったら、またお話ができるって。
それに、僕は濡れても大丈夫な雪だるまだって。
そう言って――ゆーちゃんは家の中に戻って。
……それから。
ゆーちゃんは――僕の前に来なかった。
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