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心配だけど、僕は動くことができないからゆーちゃんの元に行けない。
それにもう……僕は消える。
雪は解けて水になって、水は水蒸気になって空に昇るから。
もう二度と、ゆーちゃんの前に『ゆきちゃん』は現れない。
ゆーちゃんが次に会うのは『ゆきちゃん』じゃない別の雪だるまだ。
だから……せめて。
お別れの挨拶だけでも言いたかった。
「――ゃん!」
――ふと、声が聴こえた。
だけど誰の声かはわからない。
それを判断するだけの余裕は、僕にはもうないから。
「――ちゃんっ!」
……でも、その声が近づいてくるのはわかる。
真っ直ぐと僕の元に近づいてくるその声は。
ああ……それはきっと。
「ゆきちゃんっっっ!」
――ゆーちゃんだ。
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