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動くことができない僕は一緒にその喜びを分かち合うこともできない。
ただただ、目の前で喜んではしゃいでいる女の子を見ているだけしかできない。
何もできない僕の前に、その女の子の元に一人の女の人がやって来た。
「そろそろ家に入りなさーい。……って、手が真っ赤になってるじゃない! 雪で遊ぶんだったら手袋をしなさいって言ったでしょ!」
「だって、はじめてのゆきだもん」
「だから手袋を付けなさいって……ああもう、こんなに冷たくなって。早く家に帰って暖まりましょうね」
女の人に叱られた女の子は、その手を女の人に握られて家の中に入ってしまった。
だけど、女の子は叱られたのにとても嬉しそうだった。
よっぽど、初めての雪で遊ぶことが楽しかったのだろうか。
もしそうだとしたら……そうだなぁ。
そんなに、悪い気はしないなぁ。
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