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次の日――女の子はまた僕の前に現れた。
完成した“雪だるま”の僕にもう用はないはずなのに、でも女の子は僕の目の前で座って。
「あなたのおなまえ、きのうでたくさんかんがえたの。でも……ひとつにきめられなかった。ごめんね」
何を謝るのか、それが理解できない。
雪だるまの僕に名前――そんなものは不要だ。
そもそも僕は冬の季節が終われば、雪が解ければ消える運命だ。
なのに目の前の女の子は昨日から必死になって僕の名前を考えていたみたいだ。
そんなに初めての雪で作った僕が大切なのだろうか。
「だからね、いっしょにどういうおなまえがいいのかきめよう!」
満面の笑みでそう言った女の子……だけど。
そもそも僕は声を出すことはできない。
だから一緒にどういう名前が良いのか決めることができない。
なのに一緒って――どうすれば良いんだ?
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