【友達】

8/9
前へ
/17ページ
次へ
 雪から出来ている僕は、過去に降っていた雪の集合体だ。  この広い世界で降った雪は、色々なことを溜め込んでいる。  それは知識――つまり、僕は物知りだ。  だから僕は、空が暗くなるまで何も知らないゆーちゃんに色々なことを教えていた。  でもゆーちゃんは途中から「むずかしくてわかんない」って顔をしかめたけど。  それはゆーちゃんが大きくなったらわかることだろうから、大丈夫だって言った。 「――そろそろかえらないとゆーちゃん、ママにおこられちゃう。もっとゆきちゃんとおはなししたいけど、ゆきちゃんをおうちにいれたいっていったら、ママはダメだって」  ――だろうね。家の中に雪を入れたら家がびしょびしょになっちゃうし。 「びしょびしょ? おうち、ぬれちゃうの?」  ――雪は元々水だからね。解けたら水になるし、大人は濡れるのが嫌なんだ。 「そうなんだ。ほんとにゆきちゃんはものしりだね!」  ――そうだね。でもそろそろ家に戻らないと本当にママに怒られるよ? 「あ、ホントだ! じゃあゆきちゃん、またあしたね!」  ――うん、また明日。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加