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8月28日 想吐
今日は久々に優子と会った。12時半に上野駅で待ち合わせたが、間違って上野に停車しない電車に乗ってしまい、すっかり遅くなってしまった。
優子と初めて会ったのは高2のとき、席が隣同士だった。それ以来、学校ではよくくっちゃべった。
卒業式以来、久々に会う。
「大学生活はどう?」
お昼を優子のお母さんにごちそうになり、お土産をもらった。
「クッキーなんていいんですか?悪いですよー」
「いいえ、優子と友達になってくれてありがとう。中学のときはあまり友達がいなかったの」
イジメがあった事は簡単に予想出来た。
「じゃあ、遠慮なくもらっておきます」
オバサンは用事があるらしく帰ってしまった。
バイトや教育実習、教習などイロイロしゃべった。
「教師にはなれそうなの?」
優子は音楽の教師を目指している。
「うん、何とかね?」
松坂屋でスタジオジブリ『猫の恩返し』の展覧会がやっていた。
彼女とならうまくやれそうな気がした。
ヒドく痩せた男が「シアントゥー」って言った後にゲロを吐いた。
男は中国人だ。最近、中国語の勉強をしている。『想吐』って漢字を書く。
優子は介抱してやった。
彼はブラック・リーって名前だった。
店を出て街を歩いていると尋ねられてきた。
「竜一って童貞?」
「まさか……」
ホテルで激しく交わった。
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