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▽▽▽
私は誰を守るのか。
ううん、一体何を守りたいのか。
喉は乾いているのに、ごくりと唾を飲む。
判断をしなければならない。
ここに留まるか、土方副長達の元へ助けを求めるか。
「御用改めだ!」
三十郎隊長の緊迫した声が耳に入る。
冤罪かもとは思ったけれど、肉親の危機に勘が働いたのに違いない。
三十郎隊長も万太郎隊長も、ビリビリと痛いほどの闘気を背中に纏っていた。
近くにどなたか、隊士がいたら良いけれど。
ざわついていても、直ぐに姿が見えないとなると、探す間に手遅れになることもある。
お二人の身に何かあったら…。
「すみません、どなたでも良いです。
ここへ、新撰組を呼んで下さい。
殺すためじゃない、命を守るために!」
私の呼び掛けに、良い顔をしてくれる人は少ない。
巻き込まれたくない。
そんなこと言って人殺しの集団のくせに。
新撰組の味方と思われたら、後が大変。
ボソボソと聞こえる言葉に、構わず続ける。
「私はここで、皆さんに危害が及ばないように守りたい。
お願い、助けて下さい」
大きく頭を下げて、助けを請う。
笑われても、プライドが無くてもいい。
願いを込めてから、顔を上げ、私はぜんざい屋の裏口へと続くであろう脇道へと走った。
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