上司、とける

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 私があの人物、メルト(100パーセント偽名だろう)を知ったのは、数ヶ月前に見た、インターネットの某掲示板の噂。 ー頭の中をとかせる殺人鬼がいるらしい。 ー原因不明だから、殺人を立証されないって。 ー聞いたことある。大金をつめば、相手をヤッてくれるって。 ー都市伝説だろ? ー俺の知り合いの先輩で頼んだやつがいるんだって。1回10万。 ー安くないか? ー知らんよ。聞いただけだし。 ー10万なら、俺も頼もうかな。 ー殺したい奴いんの? ー殺したいわけじゃないけど、  死んで欲しいやつならいくらでもいるだろ? ー通報した。 ー通報しました。 ーおまわりさん、こちらです。  私はパソコンの前で、口の端をあげた。タバコの煙を吐く。お前らもだよ、そう呟く。 ーそんで、その殺人鬼の名前はなんて言うの?  書き込むが、反応はない。誰も知らないのか、それとも名前などないのか。  その時は信じてなどいなかった。程度の低い創作だと思っていた。  何日かして、捨てアドのフリーメールにメッセージが届いた。どうせ迷惑メールだろうと、題名を見る。 『Melts』  ウイルスチェックをしたが、何も検出されない。試しに開いてみた。 『植田 弘実さま    殺人代行サービスのご案内です。  当方は選ばれた方にのみ、このメッセージをお送りしております。     
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