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「じゃあ、僕も行くね。図書館で調べものがあるんだ」
流星はそう言って立ち上がった。
「あ、ちょっと待って」
俺は行こうとする流星を止めた。
「あのさ、何でいつも後ろ姿の写真なんだよ? そういう、後ろ姿に美学とか感じてんの?」
俺が尋ねると、流星は呆れた顔でため息をついた。そして、ポツリと呟いた。
「やっぱり、言わないとダメかな」
それが何を意味するのかわからなかった。キョトンとしていると流星が言った。
「結末だけ見せられたって何も面白くないだろう? 知らないから辿り着くまでが面白いんだ」
言葉を失った。未来が見えたらな、せめて就職先だけわかればこんなに苦労もせず終われるのに。口に出した覚えはない。
「あと、後ろ向きになっていても君の魅力は伝わらない。それが教えたかったのさ」
流星は得意げに笑っていた。そして、鞄の中から写真を取り出して俺に差し出した。
「これを君に贈呈しよう」
青い鳥の後ろ姿の写真だった。光に照らされ雄々おおしく翼を広げている。それを受け取ると、流星は去っていった。俺はしばらく流星の後ろ姿を見送っていた。そして、前を向いて歩き出した。
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