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柔らかそうな白い猫の毛、瑠璃色に艶つやめく鳥の翼、女の子のピンクのワンピース。テーブルに並べられた写真はそれらを鮮やかに映し出していた。だが、いくら真剣に見てもその写真からは何も感じられなかった。得体の知れないもののようで奇妙でもあった。猫であれ鳥であれ女の子であれ、全て後ろ姿しか映っていないのだから。
「どうだい? 僕の傑作たちは」
テーブルの向かいに座っている流星が得意げな笑みを浮かべて言った。
「うーん。まあ、いいんじゃない?」
一応考えるふりをしつつも、俺はいつものように相づちをした。はっきり言ってこの写真についてどう答えればいいかわからない。動物の写真は表情が見えるから好感を持たれるのではないだろうか。なのに、見せられるのはいつも後ろ姿。背景はなく、被写体は棒立ちの状態だ。せめて前を向いていれば可愛いとか面白いとか言い様があるのに。俺にはこいつの感性がわからない。
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