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「という訳で、昨日まで試験だったんだよ。試験終わったらソッコーでアパート帰って荷物まとめて、こっちに最終の電車で帰ってきたんだから…」
話は冒頭に戻って。
夏休みに久しぶり出会った私達。
ゴトショのカフェに座り、私はオーダーしたアイスカフェオレをストローでかき混ぜながら、遅刻の理由を説明した。
「で、起きたら10時過ぎだったと?」
「…すいません…」
二度寝して、待ち合わせの40分前に目が覚めた私。
ゴトショのある橘高校最寄りの駅前までバスで30分かかるんで、本来なら家を出なきゃいけない時間だ。
ママになんで起こしてくれなかったのかと責めてはみたけど、『自己責任』と一言ではねつけられた。
「…ホント、ごめん」
顔の前で手を合わせ、歌恋と有紗にひたすら頭を下げる。
「…ッ、ププ」
無言の空気に耐えきれなくなった歌恋が、突然噴き出した。
私は顔だけ上げて二人の顔を見比べる。
「そんなに怒ってないよ」
とニヤニヤしている歌恋。
「実は歌恋からね、アリスは高校時代は、遅刻しても平気で人を待たせるような子だったって聞いてたんだ。だから今日も“何か問題でも?”って感じで来るかな?って、さっき二人で話してたんだ。
でも、ちゃんと謝れるじゃんって、おかしくて笑っちゃった」
有紗も、ニコニコしながら補足する。この二人、私のことをなんだと思ってるんだ?
あ、いや、遅刻したのは私が悪いか。しかも誤魔化せるかも?って、ギリギリまで連絡しなかったし。
ホント、すいません。
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