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プロローグ
大学受験なんて、なきゃいいのに。
そんなことを考えながら、私は自室の勉強机で、学校から配られたセンター試験対策用の問題集をパラパラめくっていた。
お年玉でちょっと無理して買ったヘッドフォンでお気に入りの曲を聴きながらなので、どっちかというと音楽を聴いている方がメインで、問題集はただ機械的にめくっているだけ。
それが証拠に、机の上に筆記用具すら出していない。
行きたい大学なんて、特にない。
大学に行って何が勉強したいかなんて、考えたことない。
というより、そもそも大人になって何になりたいかなんて、考えたこともない。
ママが大学に行けって言うから、何となく行った方がいいかなって思ってるだけ。
ていうか、ママは短大だったのに、私には『短大はダメっ。四年制の大学に行きなさい』って、おかしくない?
おとーさんは進学は好きにしたらいいって言っただけでそれ以上何も言わないけど、ママの方が一方的に私の進学に必死になってる。
あ、ちなみにおとーさんと私は、血の繋がりはない。
普段はあまり気にしたことないけど。
昔は天然でのんびりしていたママも、いつの頃からか教育熱心なママになってた。
何故なのかは分からない。
おとーさんが、また単身赴任になってしまったんで、一人で二人の子を育てるママにプレッシャーがかかってるからかもしれない。
おとーさんは結構高学歴みたいだし。
そのためなのか、年の離れた弟の悠斗なんかまだ5歳なのに、ママに無理やり英会話教室に通わされている。
ちなみに悠斗はママとおとーさんの間にできた子なので、私と半分しか血は繋がっていない。
それもあまり気にしたことないけど。
あ、もしかしたら悠斗自身は、そのことはまだ知らないかもしれない。
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