アリスと詩音(過去編)

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そして翌日の日曜日。 バスケ部男女合同でのリレー祝勝会が、学校最寄りの駅前のカラオケボックスで行われた。 本当に、我がバスケ部は、勝ち慣れていない分、喜びの沸点が低い。 地区大会一回戦を勝っただけでも大喜びなのに、二回戦に勝とうものなら、本当にその夜に祝勝会を開いてしまいそうな勢いだ。 あと二つ勝ってようやく地区代表で、その後には県大会が控えてるのに…。 そのリレー祝勝会も終わり、解散になった。 幹事でもないのに片付けを手伝わされたりしているうちに、自然な流れで、いやかなり不自然な流れで、きがつくといつのまにか、部屋に残っているのは詩音と私の二人きりになっていた。 後で部の友達を締め上げて白状させたら、詩音とその仲間達、私の友達なんかも仕掛け人になって、告白する詩音のために、私と二人きりになるよう仕組んでいたらしい。 「高橋、この後予定ある?」 二人きりになった帰り道、詩音が私の横に立って、恐る恐る尋ねてきた。 実は、“詩音はアリスという女の子のことが好きらしい”というウワサは、それまでに私の耳にも入っていた。 だからこんなシチュエーションになるかもしれないという予感は、少し前からあった。 …という言い方をすると、いかにも“上から”だけど、私も詩音から告白されるのを待っていたのも事実。 “ウワサを信じて舞い上がってる”という点においては、私も井上さんと大差ないのかもしれない。
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