アリスと詩音(過去編)

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「お帰りなさいませご主人さまー」 「ほらアリス、棒読みしない。 それにもっと元気よくっ!」 メイド服に無理やり身を包み、あからさまにやる気なさそうな声で呼び込みをしていた私に、隣に立っていた美香が呆れ顔で注意してきた。 「えーっ、やだよ、めっちゃ恥ずかしいし」 「しょうがないでしょ?クラスで多数決して、うちのクラスはメイドカフェやるって決めたんだから、文句言わないの。 それにブスッとしてる方がカッコ悪いよ」 「だってこの衣装、おっぱい強調し過ぎじゃない?誰が作ったのよ」 「もうアリスはさっきから文句ばっかり。 メイドの衣装は、みんなで作った5着を交代で着回すって決めたんだから多少は我慢しなきゃ。しかも窮屈なのは、あんたがおっぱいデカいせいでしょ? ほら、私はなんともないし」 そういうと美香は胸を張ってみせた。 いや、美香はそれでいいのか? 「男子はいいよなあ、執事の衣装で。 似合う似合わないは別として、衣装そのものはカッコいい訳だし」 私はチラッと横目で店内を見回した。 廊下での呼び込みのメイド3名と、店内の給仕係のメイドが2名。 男子が扮する執事3人は、全員店内で給仕係。 あとは、お揃いのクラスTシャツを着たスタッフが、バックヤードでチョコバナナやカキ氷を作ってる。 これをクラス全員で交代で分担する予定。 メイド役は1人1時間で交代だから、また後50分以上もあるじゃん。
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