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メイド服にミッキーヘアの井上さんは、もともと切れ長の目の、シュッとした美人。
メイド服を着ていると、キツめだけど良くできる切れ者のメイドっぽい感じだ。
白いレースのついた胸元も、私のようにパッツンパッツンでも、美香のようにツルペタでもなく、程よく主張し、“ちょうどいい感”を醸し出している。
「あんな感じの表情もできるんだね?
彼女、秀才のお嬢様だから、こんなこと絶対しないと思ってた」
「そう。そんなイメージないよねー」
美香はそう相槌を打つと、さらに続けた。
「まあ、理由はどうあれ、自分からメイド服着てみんなに見てもらいたいって言ってくれるのは、実行委員としてはありがたいよ。
うちのクラスの女子は何故かみんな、メイド服るのは良くても、表に出てビラ配りするのは嫌がってるからねー」
そう言って私をチラッと見た。
そうなのだ。
私は部活にカマけて学園祭の準備をあまり手伝わなかったせいで、欠席裁判で有無を言わさずに一番人出の多い時間帯のビラ配り要因になっていた。
そして、『お試し参加』のことも知らされないままだった。
いや、ほんとは聞いてたのかもしれないけど。
美香は美香で、ビラ配り要員のなり手がいないから実行委員自ら引き受けたって言ってるけど、私に気を使って一緒にいてくれてるんだと思う。
まあ、私が一人だと絶対サボるから、見張るという意味もあるんだろうけど。
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