アリスと詩音(過去編)

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そんなこんなで、美香と私、少し離れた位置の井上さんと、三人でのビラ配りも残り15分となった頃、私のスマホが着信を告げた。 ママからだ。 美香に断って電話に出た。 「もしもし?」 『あ、あーちゃん?今学校着いたんだけど、あーちゃんのクラスってどこ?』 「えーっ、本当に来たの?もうちょっとしてから来てくれれば良かったのに」 『だってあーちゃんの“メイド服”、写メらないとね。パパに言ったら“写真楽しみにしてる”って言ってたし』 「ウソっ、おとーさんにも言ったの?」 最悪だ。やばい。 ママが来る前にどこかに隠れないと。 そうは思ったものの、美香が見張っているので、ここから逃げることはできそうもない。 教室の場所、ウソを教えようかな。 いや、バレた後が怖い。家に帰ってから地獄を見そうだ。 仕方ない。ママは天然だし、自ら校内で迷ってくれることに賭けよう。 そんなことをぼーっと考えていると、前方から詩音が歩いてくるのが見えた。 なんでいんの? いや、いるか。ここの生徒だし。 てか、私がこの時間メイド服着てるって、わざと教えてないのに、知っててきた風な感じ。 ニヤニヤしてるし。
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