134人が本棚に入れています
本棚に追加
そんなこんなで、美香と私、少し離れた位置の井上さんと、三人でのビラ配りも残り15分となった頃、私のスマホが着信を告げた。
ママからだ。
美香に断って電話に出た。
「もしもし?」
『あ、あーちゃん?今学校着いたんだけど、あーちゃんのクラスってどこ?』
「えーっ、本当に来たの?もうちょっとしてから来てくれれば良かったのに」
『だってあーちゃんの“メイド服”、写メらないとね。パパに言ったら“写真楽しみにしてる”って言ってたし』
「ウソっ、おとーさんにも言ったの?」
最悪だ。やばい。
ママが来る前にどこかに隠れないと。
そうは思ったものの、美香が見張っているので、ここから逃げることはできそうもない。
教室の場所、ウソを教えようかな。
いや、バレた後が怖い。家に帰ってから地獄を見そうだ。
仕方ない。ママは天然だし、自ら校内で迷ってくれることに賭けよう。
そんなことをぼーっと考えていると、前方から詩音が歩いてくるのが見えた。
なんでいんの?
いや、いるか。ここの生徒だし。
てか、私がこの時間メイド服着てるって、わざと教えてないのに、知っててきた風な感じ。
ニヤニヤしてるし。
最初のコメントを投稿しよう!