プロローグ

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「ああ、あーちゃん?受験勉強はどう?どこを受験するか決めた?」 「もう。おばあちゃんまでママみたいなことを言うし!」 私はムッとした口調で言い返す。 もちろん本気で怒ってるわけじゃないけど。 「ママも心配なのよ。あーちゃんに恥ずかしい思いをさせたくないってね」 「別に四年制の大学出てなくても、恥ずかしいわけじゃないし」 「もう。それはおばあちゃんとじゃなくて、ママと話し合いなさい。 あ、そうそう。電話したのはね…」 「分かってる。“お父さん”でしょ? 今度はいつ?どこに行けばいい?」 私はおばあちゃんが内容を告げる前に、先手を打った。 おばあちゃんの電話の趣旨は、二ヶ月に一度の“お父さん”との面会日のお知らせだった。 だから、ママは席を外したんだ。 私も、“お父さん”に会いたくない訳ではないけど、特に会いたい訳でもない。 ママはあからさまに嫌がってるから分かりやすいけど、おとーさんはなにも言わないから、逆に不安。 まあ当然いい気はしてないだろうけどね。 私は、おとーさんに不満があるわけではないし、血が繋がってなくても、ママと私を愛してくれているのがヒシヒシと伝わってくるので、むしろ同世代の普通の“血の繋がってる”親子より、私とおとーさんは仲がいい方だと思う。 方や“お父さん”は、物心ついた時からは既に仕事で単身赴任してて殆ど一緒にいなかったので、あまり記憶がない。 とはいえ、血の繋がった実の父親。 ママと私を“捨てた”という経緯があって、ママは良く言わないし、そのこと自体はママが可哀想とは思うけど、私自身、“お父さん”との記憶は思い出そうとしても、一緒に旅行に行ったとか、バーベキューをしたとかの楽しかったことしか覚えてないので、そこまで悪感情は、実はなかった。
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