アリスと詩音(過去編)

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でもまあ、仕方ないか。 詩音と井上さんは中学時代からの知り合い?友人?勉強のライバル?だから。 井上さんが詩音のことを好きだってことは、今まで私と付き合ってる間の詩音の口ぶりでは、詩音は知らないっぽいけど。 でも詩音は優しいんだな。 井上さんが頼んだらしいツーショット写真も撮らせてあげてる。 心がザワザワッとしながら、私はその様子をぼーっと見つめていた。 因みにママは、大方の予想通り、正しい場所を教えたにもかかわらず、自分で校内で迷い、私らのクラスに到着した頃には、私のメイドの時間は既に終わった後だった。 おとーさん用に写真を撮るためにもう一度着るよう何度もせがまれたけど、絶対いやだと断った。 「パパに怒られる」としつこく粘られたけど、おとーさんはそんなことで怒る人じゃない。 冗談で「お試し参加枠があるから、ママが自分で着ておとーさんに送ってみたら?』と言ったら、意外とママは乗り気になってしまって、ついには本当に着てしまった。 そして、クラスメイトから「お母さん若い!」とか「おいくつですか?」なんて聞かれるもんだから、調子に乗ってかつての決めゼリフ「高橋優子、永遠の25歳でっす」が飛び出す。 クラスのみんなには大ウケだったけど、恥ずかしくて仕方のなかった私は、穴があったら入りたい気分だった。
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