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「し…詩音の家に?」
「ああ、やだ?」
明日の月曜日は、土曜日の学園祭の振替休日。私たちは休校日だけど、他の人たちは、普通に仕事や学校がある。
ってことは…
「もしかして…詩音のご両親は…」
「仕事。姉ちゃんも学校で、誰もいないと思う」
流石に、詩音が明日家に来るように誘ってる意味は、私でも分かる。
先程、いきなりオトナのキスだったとはいえ、ようやくファーストキスを済ませたばかりなのに…。、
「あ、そうなんだ…」
私は抑揚を抑えて相槌を打った。
どうしよう。
いきなりこんな展開に。
「どう?ダメ?」
詩音は上目遣いに顔を覗き込んでくる。
私は必死に頭を働かせて考える。
行ってみたい気持ち半分、不安半分。
“そういうこと”に興味がない訳じゃないけど、なにしろ今日キスを済ませたばかりだ。
心の準備も何もできていない。
でも、歌恋にオクテだとバカにされるのを見返すチャンスかもしれない。
どうしよう…。
そんなことを考えていると、再度詩音のスマホが着信音を告げる。
今度は詩音はスマホを取り出さず、ポケットに手を突っ込んだまま、着メロを止めた。
また“井上”って人からの電話?
やっぱりその電話は、井上さんなの?
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