アリスと、アリサ

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アリスと、アリサ

「おはよー」 「あ、アリスおはよ」 私が高校の教室に入ると、既に登校していた親友の森野美香が笑顔で迎えてくれた。 「どうだった?昨日。また気まずい晩御飯だったんじゃないの?」 「うん、まあね。でもいつものこと」 クラスで一番の親友の美香は、我が家の事情を知ってくれている。 昨日私が“お父さん”に会ったことも事前にLINEで報告済みで、“お父さん”に会ったその日はウチのママが変なテンションになることも知っていて、心配してくれているのだ。 「親の都合とはいえ、アンタも大変だねえ」 「まあもう慣れたよ。別にあっちの“お父さん”も、『ただ顔を見せてくれればいい』って言ってるだけで、私をどうこうしようって訳でもないし、それに…」 「それに?」 「一応、私が高校卒業したら、この面会も終わりだし」 高三になってから初めて知らされたこの取り決めを、美香にも初めて打ち明けた。 「へえ、そうなんだ。アリスはそれでいいの?」 「うん。その方がいい…かな。 面会日の前後ってウチがギクシャクするし。 それに一応、18歳になって高校卒業したらオトナってことで、その後会うか会わないかは、私の自由って意味でもあるんだけどね…」     
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