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「……皐月課長」
駅前を歩く背中を見つけて声をかけると、ふっと振り返って、
俺の姿を認めると、「……間宮君…」呟いて不快感を顕にした。
「俺に会ったことが、そんなに不満ですか?」
尋ねるが、それには何も答えず、駅の構内に入って行こうとした。
その腕を引き、
「……無視、しないでもらえます?」
言って、
「…ねぇ、これからホテルに付き合ってもらえませんか?」
と、続けた。
「行かない……」
答えて、ゆるゆると首を横に振るのに、
「行かないと、マズいことになると思うんですけどねェーそれでもいいんです?」
にやにやと笑いながらその顔を覗き込むと、無言でじっとこちらを睨んだ。
「……行きますよね?」
手を引くと、促されるままに付いて来て、
「わかってくれたみたいで、何よりですよ」
恐らくは抵抗する気が失くなったらしいのを、駅近くにあるホテルへ連れて行ったーー。
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