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──誰もいない屋上で、景色を眺めるでもなく缶コーヒーを飲んでいると、
「……各務さん、どうも…」
と、後ろから声をかけられた。
顔を上げて見ると、そこにはあの間宮がいた。
「……何の用だ……」
ここにはあまり人も寄りつかないはずなのに、なんでこいつがいるんだと横目に睨むと、
「……ちょっと用があって、後をつけて来たんですよ」
と、にやにやとした笑いを貼り付けた。
「……貴様に用はない」
彼を抱いた憎らしさが込み上げて、視線を逸らすと、
「そんなに嫌がらなくてもいいじゃないですか…」
擦り寄るようにも横にくっついて来て、
「……それほど怒ってるとこ見ると、課長からいろいろ聞いたんですよね?」
と、下から覗き込んだ。
イラついて何も答えずにいると、
「……どこまで話してました?」
と、さらに顔を迫らせてきた。
「……おまえに話すことなどない」
顔を背けてコーヒーを飲むと、
「へぇー……」と、俺の顔を窺って、持っていたコーラをプシュッと開けて一口を飲むと、
「……これでも、ですかね?」
と、スマホを見せてきた。
画面を見やり、言葉を失った。
そこには、ベッドで寝ている全裸姿の皐月課長が映し出されていた……。
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