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 ホームにあふれる乗降客は、水族館のトンネル水槽で整然と群れをなし泳ぐ魚達のようだった。ごった返しながらも、ひとすじに続く道を作り進んでゆく。その人の波間に揺られ私も階段をのぼりきり改札を出た。向かうのは木製のベンチ横(いつもの場所)。半年ぶりの君の姿がそこにあった。手を振って待ってくれていた君の元へ飛び込んでいくから、抱きとめて。
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