真相1 研究員の資料

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資料 1 精神性疾患の治療の為に始めた製薬だったが、とある医療団体から支援の話が舞い込んできた。 行き詰まっていた私たちが受けた支援は技術指導に資金、製薬に必要な薬品。 薬品の見込まれる効能は、他と混ざり薬効を強め精神を少し解放的にする……だそうだ。 調べても薬品の成分が分からず辞めるべきだとの声もあったが、使用により画期的な効果が出たことと支援をしてきた医療団体が開発に成功した場合でも十分な量を提供できるとのことで、薬品の精製はできずとも使用することになった。 2 治験を開始してすぐ計画は中止になった。 被験者たちのほとんどが廃人となったからだ。 原因は不明。 治験期間が終了した者、治験中の者合わせて148名がある日を境に意識不明に陥りその後精神に異常をきたした。 精製した薬の成分にそのようなものは無い。 ある程度の栄養補給と精神向上の効果のみのはずだ。 動物実験でも異常はなく、今もケージの中で健康そのもの。 何度調べても理解できないまま、私たちの計画は失敗に終わった。 3 提供された薬品を返品する為に荷積みしていたのだが、荷を積んだトラックが行方不明になった。 まさかと思い研究資料を調べて頭を抱えた。 全てのサーバーからデータが消えていた。 私たちのチームは全員連絡がついたが、別の研究チームの1人が失踪していた。 幸いデータ自体はネットに繋がっていない別のPCに保存していた為問題ないが、あの薬品を何に使うつもりだろうか。 せめて世の為に使われることを願うばかりだ。
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