01 俺、猫になる

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 しかし今回の女子、須川さんは大物だ。学年でも有名な美少女だ。  さしもの俺も興奮する。  彼女に接近して肌の匂いを嗅ぐと、甘いイチゴのような匂いがして、身体が熱くなった。そのまま、顔を近付けて唇を奪う。 「っつ!」  心臓が高鳴って異様に体が熱くなった。  何か変だ。  おかしい。  そう感じた時にはもう手遅れだった。  目の前が真っ白になり、気がついた時には、俺は須川さんを足元から見上げていた。  へ? 「猫……?」  須川さんが呆然と呟く。  その言葉に、俺は遅まきながら事態を把握する。  クラスでも身長順だと後ろの方の俺が、須川さんに見下ろされている。彼女が急に巨大になったように見えたが、実際は俺の方が小さくなったのだ。  ぎょっとして須川さんから視線を外し、自分の足元を見ると、黒く滑らかな毛皮に包まれた前脚が目に入った。 「いやあっ、私は猫が嫌いなのよ! 須郷くん、どこ行っちゃったの?!」  須川さんは急に顔を歪ませて叫ぶと、足元の俺を蹴飛ばした。  おいおい! 「人が急に消えるなんて……須郷くん、ふざけてないで、出てきてよー!」  消えた俺を探しながら、須川さんは一目散に走り去っていく。  いてて……酷い目に遭ったぜ。  身を起こして俺は、鞭のようにしなやかな尻尾が自分に生えていることに気付く。足踏みすると、黒い毛並みに覆われた脚と尻尾が動いた。  マジかよ。  俺、猫になっちゃった訳?!
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