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しかし今回の女子、須川さんは大物だ。学年でも有名な美少女だ。
さしもの俺も興奮する。
彼女に接近して肌の匂いを嗅ぐと、甘いイチゴのような匂いがして、身体が熱くなった。そのまま、顔を近付けて唇を奪う。
「っつ!」
心臓が高鳴って異様に体が熱くなった。
何か変だ。
おかしい。
そう感じた時にはもう手遅れだった。
目の前が真っ白になり、気がついた時には、俺は須川さんを足元から見上げていた。
へ?
「猫……?」
須川さんが呆然と呟く。
その言葉に、俺は遅まきながら事態を把握する。
クラスでも身長順だと後ろの方の俺が、須川さんに見下ろされている。彼女が急に巨大になったように見えたが、実際は俺の方が小さくなったのだ。
ぎょっとして須川さんから視線を外し、自分の足元を見ると、黒く滑らかな毛皮に包まれた前脚が目に入った。
「いやあっ、私は猫が嫌いなのよ! 須郷くん、どこ行っちゃったの?!」
須川さんは急に顔を歪ませて叫ぶと、足元の俺を蹴飛ばした。
おいおい!
「人が急に消えるなんて……須郷くん、ふざけてないで、出てきてよー!」
消えた俺を探しながら、須川さんは一目散に走り去っていく。
いてて……酷い目に遭ったぜ。
身を起こして俺は、鞭のようにしなやかな尻尾が自分に生えていることに気付く。足踏みすると、黒い毛並みに覆われた脚と尻尾が動いた。
マジかよ。
俺、猫になっちゃった訳?!
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