01 俺、猫になる

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01 俺、猫になる

 その時、俺は学校で、好みの女の子を壁ドンで追い詰めているところだった。  壁ドンが分からない方向けに説明しよう。男性が女性を壁際に追い込んで、両腕もしくは片腕で壁に手をつき、女性が逃げられないように囲い込む体勢、もしくはシチュエーションのことである。見れば分かるがな。  今回の対象の女子は、清楚なお嬢様ふうの長髪の女の子だった。  隣のクラスの須川さんだ。  彼女は俺を人気の無い廊下に連れ出し、ずっと俺が気になっていたと告白してきた。俺も美人な彼女がちょうど気になっていたから、ちょうどいい。  美味しくいただきます。  そういう意味の返事をした。  腕の中に囲い込んで見下ろすと、彼女は頬を赤く染める。  無理もない。  俺は、自分の容姿にはちょっと自信がある。  むさくるしい男らしい顔じゃなくて、今どき流行りのちょっと中性的な整った顔立ち。中性的と言っても、大人しい草食系ではない。野性味と鋭さを帯びた目つきに締まった身体、身長もそこそこある。  良いかんじの顔に生んでくれた両親に感謝だ。おかげで女子にモテる。
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