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04 雨降って地固まる?
自分の短気さを只今絶賛後悔中だ。
後悔は遠藤に「うざい」って言ってしまった件について。
俺の言葉に遠藤はほんの一瞬、悲しそうに瞳を揺らすと、すぐに「そうか」と冷静な顔に戻って、視聴覚室を出ていった。雰囲気的に俺をそっとしておこうと考えたんだろう。本当に羨ましいくらい落ち着いた野郎だぜ。
別に遠藤が嫌いって訳じゃない。
まあちょっとばかしウザイと思っていたのは事実だが。
それにしたって俺は幼稚にキレて奴を追い払わなくても良かったはずだ。後から考えると溜め息が出る。狗乃森のことだって、本当は聞きたかったし。
「はあ……」
『悩むって青春な感じねえ』
横断歩道で亡くなったらしい幽霊の花子さんが、面白そうに俺を見る。花子さんはおかっぱ頭に昔の学生服を着て血を流しながら浮いている。
学校の帰りに交差点近くの公園で反省していたら、横断歩道から花子さんが漂ってきたのだ。住処から移動できるのかよ。
「なあ、花子さんは狗乃森って知ってる?」
『狗乃森……男前の烏天狗のことかしら』
遠藤と言い争う原因となった人物の名前を挙げると、花子さんは心あたりがあるらしく、首を傾げる。
「カラステング?」
『妖怪みたいなもんよ。手当たり次第に霊的な力を集めて何か企んでる。私は大して力を持ってないから無視されてるけど』
「あいつも妖怪なのかよ」
『詳しいことはカズマに聞いて』
話が戻ってきた。
遠藤かあ……うーん。
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