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階下で玄関を開ける音がする。
「おばさんこんにちはー!」
入ってきた奴が誰だかすぐわかる。
フハハハハ、オペレーション06開始だ!
飛んで火にいる何とやらとはお前の事だ!
どたどたと階段を駆け上がる音が近付いてくる。いい加減その歳になったら女らしさを身につけろ。
そう言ってやりたい所だが俺はオペレーション06の真っ最中。
笑顔を湛えて迎えようではないか!
勢いよく引き戸が開く。
「用ってなにー?」
来たな間抜けヅラ。でも薄々は感づいているのだろう?今日は3月14日。
お返しを貰う気満々の癖に平静を装いおって。
「わざわざごめんな。おまえん家行くのが筋なんだろうけど。」
「面倒だってんで私を呼び出したのね。」
その呆れ顔が泣きべそに変わるだろう!
「いやね、ほら、もらったし。ね。」
俺がテーブルの上の箱を示すと相手はのそのそと部屋に入り込んでその前に座った。
ちらっと俺と見る。
警戒しているな?一昨年だったか、パッケージを開けると蛇のおもちゃが飛び出す様に仕掛けておいて、あれは大成功だったなぁ!あいつの反応ったらなかったわ!
今回の算段はこうだ。
・ テーブルの上の箱をこいつが見つける。
・ 高級店のケーキだと知ってそれを開ける。
・ キラキラのケーキに目が釘付けになる。
・ そこを後ろから頭を押しつける!
完璧だ!
クリームが飛び散るといけないから俺の部屋に呼んだのさ。
この作戦に欠かせないのがこいつの目を釘付けにできる見るからに凄いケーキだ。
悔しいが、あいつのくれたチョコの100倍以上の出費になってしまった。
だがそれに見合う屈辱を与える事が出来よう!
何せ心ときめかせていたケーキを食べられないどころか俺の前に醜態をさらすのだからな!ワハハハハ!
「これ、くれるの?」
何だその素直な反応は。警戒していたんじゃないのか?
「うそ、だって、こんな高いの… これ隣町の有名な奴でしょ?すぐ売り切れちゃうって…テレビでやってたよ?」
その通りだ!抽選に当たるまで3回も列に並んだんだ!これなら絶対食らいつく!
「まぁね。」
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