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こいつは一回黙った後、箱を見たままありがとうと言った。
そして視線を外したまま続けた。
「これって もしかして… その… 本… …本当はおばさんが買ってきたんでしょ!アハハハ!危うくだまされるとこだったー!もう!ひっどーい!駄菓子で良いから自分で買いなさいよ―!まったくー!うけるー!」
そう言って俺をびしゃびしゃ叩きだす。何だこいつ!いきなり高テンションになりやがって!
そうじゃなくて箱を開けろってんだよ!ケーキに釘付けになれってんだよ!
「自分で買ったんだよ!うっせーな!とっととあけろ!」
俺が言うと笑いがすぐ消えてなんだかしどろもどろになりやがった。
そうだ、そうやって反省しろ!貯金無くなったけどな!
「じゃ、あけるね。」
上目づかいやめろ!気色悪い!お前は女の子か!
こいつが箱をたどたどしく開け始める。
不器用だな!とっとと開けろ!
俺はオペレーションを完遂する為にタイミングをはかった。
そうだ、狙いはこいつがケーキに心奪われ顔を近づけたその時だ。その為に間近で眺めたくなるような見栄えのいい奴ばかり選んだんだからな!高かったけど…。
ようやくこいつが箱を開けると目を見開いた。
「わぁっ… 」
何て声出しやがる…。
そしてなんでこっち見るんだよ。見るのはケーキだろ。ってええぇ… ?そういう顔する?
子供みたいに屈託のない笑顔になりやがって…。
「ありがとう…。」
は!そうだ!オペレーション!オペレーションGO!!
こいつは再びうっとりとケーキを眺めた。
今だ!後頭部を押すのだ!べしゃっといくのだ!あいつの顔をクリームまみれにしてやれ!そして大笑いしてやるのだ!
俺は気付かれないようにあいつの後ろに腕を持って行き…
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