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「……毎日毎時間、ホント飽きねぇなぁ?桜庭さん?」
俺がそう声を掛けると、嬉しそうに近付いてくる彼女。
「飽きるだなんて、有り得ません!!私がどれだけ貴方を愛していることか…!!」
当然と言うように、得意気な顔をする桜庭さん。愛だの何だの、良く平気で言えるよな……。
――けど、俺はそう簡単には信用しねぇぞ。
「へぇ……、じゃあ、お前の言う愛ってのは、どの程度のもんなんだよ」
俺がそう問いかけると、驚いたように目を見開く彼女。だがその後、すぐに目を伏せて、口元に手を添えた。
ほらな。やっぱり。お前の言う愛なんて、どうせ何の真実味もない軽薄なもん……、
「えっ……、そう、ですね……。……永遠に閉じ込めて、独り占めしたいくらいには…っ」
「重い重い重い!!!」
いや怖ぇよ!!!頬を赤らめながら何言ってんだ!!!
全く悪気はないであろうこいつを見て、俺は自身の生命の危機を感じる。俺は、自由でありてぇよ……。
……まぁ、本当は分かっていた。こいつはそういう奴なんだ。平気で、普通じゃない発言をする。
だからと言って、それを信じるつもりはないが。
「はぁ……。大体、何でそんなに俺に付き纏うんだよ?」
純粋な疑問をやっとのことでぶつけると、ピタッと動きを止める目の前の彼女。
……?……っえ。な、何だよその反応……。
「……、覚えて、ないんですか……?」
「……え……?」
……覚えてないのかって……、
「何を……?」
本気で分からなかった。だから、恐る恐る聞き返した。
次の瞬間、彼女が少し悲しげな表情をしたことを、俺は見逃さなかった。
「――高橋さん!今日の放課後、少し付き合って下さい!」
途端にいつもの調子に戻り、笑顔でそう言う桜庭さん。
「……え、あ……」
俺が返事をする間もなく、授業開始のチャイムが鳴り、彼女はそそくさと自分の教室に向かって行ってしまった。
……もしかして俺……、―――何か、まずいことした……?
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