ライチ,ワンス・アゲイン

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ライチ,ワンス・アゲイン

何も考えずに、君が優しいからって、かぶりついた恋。 気がついたら、顔も手もべしょべしょに濡れていた。 甘くて美味しい。 けれど、しとどに流れる両の目の水。 君の皮は分厚くて、中身が見えない。 固く閉ざされた、本当の君。 きっと、あの女には皮を剥くことを許し、 見せている、 君の心。 私には、遠すぎて掴めない。 だって君の種子には、たどり着けないから。 それでも、私は、 君と一緒に居た時にかぶりついた、あの甘い果実を忘れない。 【end】
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