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すいかのワルツ~熟れた夜更けは枕が似合う~
僕は君の枕でいたかった。
腕が痺れてもいいから。
涎を垂らされてもいいから。
シャワーで濡れた髪を。
シャンプーの香りを。
君の小さな頭を。
君の頭を支えながら、
取り留めのない話をしていたかった。
ずっと君の頭を包んでいたかったんだ。
──でもサヨナラ。
ああ、そうだね。
お別れは、その赤い服がいい。
残り香は、
甘美で妖しく、
一夜を彩るのがいい。
君の頭のない夜更け。
君の体のない夜更け。
君の心のない夜更け。
僕の腕が役目を失った、
赤く滴る、
闇色の夜更け。
【end】
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